逆流性食道炎の原因と治療法
逆流性食道炎とは
日本人に少なく欧米人に多いといわれていた逆流性食道炎ですが、食事の欧米化に伴い近年では日本国内でも患者数が増えつつある疾患です。胃と食道の間にある下部食道括約筋が緩むことで胃酸が逆流しやすくなり、胸やけや呑酸、ゲップ、胃痛、喉の違和感など様々な症状が現れます。
逆流性食道炎の症状
患者様によって症状は異なりますが代表的なものとして胸やけや呑酸、ゲップ、喉の違和感などがあります。その他に、胃痛、胃もたれ、吐き気、腹部の張り、下痢や便秘などの便通異常などが起こることもあります。
逆流性食道炎の原因
胃と食道の間にある下部食道括約筋は胃の内容物が食道へ逆流しない為に蓋の役割をしていますが、筋肉の弛緩などでその役割が衰えると、胃酸や胃の内容物が逆流しやすくなります。胃酸が逆流を起こすと食道粘膜が胃酸によってただれたり、炎症や潰瘍を引き起こして胸やけや胸痛、喉枯れなどの症状となって現れます。脂っこい食事を続けていると、胃酸が過剰に分泌されて、症状が起こりやすくなります。その他、食後すぐに横になったり、腹部を締め付ける服装や、腹圧のかかる姿勢、妊娠などをきっかけに胃酸の逆流が起こる場合があります。
検査方法
まずは問診にて症状をお伺いしていきながら逆流性食道炎の疑いがあるかどうか診断していきます。
胃内視鏡検査では胃や食道の粘膜を直接観察できるので胃酸の逆流による粘膜の炎症やびらん、潰瘍がないか検査を行うことができます。
また、Fスケールというセルフチェック項目があります。これは12項目の質問の答えを点数化し、合計点数で評価するものです。8点以上の方は、逆流性食道炎の可能性が高いので、気になる症状がある方は、一度確認してみて下さい。
Fスケールによる診断
下記の自動計算表でお試しになってください。点数が8点以上となった場合は逆流性食道炎の可能性が高いです。その場合は、胃カメラ検査を受けることをお勧めいたします。
ご質問内容(問診表)
ない 0点 | 稀に 1点 | 時々 2点 | しばしば 3点 | いつも 4点 | ||
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Q1 | 胸焼けの症状がありますか? | |||||
Q2 | お腹が張ることがありますか? | |||||
Q3 | 食後に胃が重い、胃がもたれることがありますか? | |||||
Q4 | 思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか? | |||||
Q5 | 食べた後、気持ちが悪くなることがありますか? | |||||
Q6 | 食後に胸焼けの症状がありますか? | |||||
Q7 | 喉の違和感(ヒリヒリなど)はありますか? | |||||
Q8 | 食事の途中で満腹になることがありますか? | |||||
Q9 | ものを飲み込むと、つかえやすいですか? | |||||
Q10 | 苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか? | |||||
Q11 | ゲップがよくでるようになった | |||||
Q12 | 前かがみをすると胸焼けが起こりやすい | |||||
合計 |
治療法
薬物療法
PPIプロトポンプ阻害薬やH2ブロッカーなどの胃酸の過剰な分泌を抑えるお薬を用いて辛い逆流性食道炎の症状を改善させていきます。
生活習慣の改善
脂っこい食事や食後にすぐ横になる、などの生活習慣が原因で逆流性食道炎の症状が現れている場合には薬物療法と合わせて生活習慣を改善していく必要があります。患者様のライフスタイルも問診の際に詳しくお伺いして生活習慣改善のアドバイスを行っています。肥満やタバコ、飲酒、腹部の締め付け、前かがみの姿勢、便秘による腹圧なども逆流性食道炎の症状が起こる要因となりますので注意が必要です。
再発予防には生活習慣の改善が必要
逆流性食道炎は再発しやすい疾患です。肥満や便秘、食後にすぐ横になる、姿勢の悪さなどの生活習慣に深くかかわっているので、これらの生活習慣を改善させていかないと治療により症状がおさまっても再発する恐れがあります。
食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎
食道裂孔ヘルには横隔膜の開口部から胃の一部が突き出ている状態です。特に症状が出ていない場合は問題ありません。胃酸の逆流が食道裂孔ヘルニアが原因の場合には放置していると重症化につながるため注意が必要です。症状は、胸やけや胸痛、喉のつかえですが、重症化すると呼吸困難や食道の閉塞を引き起こします。症状が落ち着いた後もお薬の服用を継続する必要があります。
逆流性食道炎のよくある質問
Q 逆流性食道炎の特徴的な症状はなんですか?
A 胸やけ、ゲップ、喉のつまり、呑酸、咳などが主な症状です。
Q 若くても逆流性食道炎になることはありますか?
A 中高年に多いとされていた逆流性食道炎ですが、最近では食の欧米化やストレスなどによって若い方の発症が増加傾向にあります。
Q 逆流性食道炎の診断方法は?
A 問診で症状をお伺いして疑わしい場合には胃内視鏡検査で直接粘膜を観察して診断を行います。
Q 予防することはできますか?
A 予防には生活習慣の改善をおこなうことが大切です。脂っこい食事を控えて、食べ過ぎに注意しましょう。お酒やたばこもなるべく控えたほうがいいでしょう。腹圧をかけたり前かがみになったりするのは胃酸を逆流しやすくなるので控えましょう。また肥満を解消することは逆流性食道炎の予防に効果があります。