スキンタグ・肛門皮垂とは
スキンタグ・肛門皮垂(こうもんひすい)は、肛門周囲の皮膚や粘膜の一部が肛門の外側に突出し、肛門の周囲に下垂した状態を指します。肛門皮垂は一般的に、内痔核(肛門内にある痔の腫れ)や外痔核(肛門の周囲にある痔の腫れ)と関連して現れることがあります。
肛門皮垂は、通常は無症状であり、多くの場合は軽度な状態であることがあります。しかし、一部の人は脱肛や痛み、かゆみ、出血などの症状を経験することがあります。また、肛門皮垂が大きくなったり、血行が悪化したりすると、痛みや潰瘍(ただれ)、感染などの合併症が発生する可能性もあります。
スキンタグ・肛門皮垂の主な原因
嵌頓痔核(かんとんじかく)
内痔核が肛門括約筋の周りにひっかかり、突出して肛門皮垂を形成することがあります。嵌頓痔核は通常、便通の過度の努力や便秘によって引き起こされます。
血栓性外痔核
外痔核は肛門周囲の静脈の腫れと炎症です。これに血栓が発生すると、肛門皮垂が形成されることがあります。血栓性外痔核は通常、便秘や長時間の座位、重い物の持ち上げなどが原因となります。
切れ痔
肛門周囲の粘膜が破れることで切れ痔が発生し、その周囲の組織が肥大化することがあります。この肥大した組織が肛門皮垂を形成する可能性があります。切れ痔は通常、硬い便や下痢、便通の過度の努力、肛門周囲の清潔さの欠如などが原因となります。
出産
分娩時には、肛門周囲の組織に圧力がかかり、それが肛門皮垂の形成につながることがあります。特に長時間の陣痛や分娩時の努力が強い場合には、リスクが高まることがあります。
スキンタグ・肛門皮垂になりやすい人とは
①長時間同じ姿勢を続けることが多い方
長時間の座位や立位など、肛門周囲の組織に持続的な圧力がかかる状況がある場合、肛門皮垂のリスクが高まることがあります。
②便秘を繰り返している方
長期間の便秘や過度の便通努力は、肛門周囲の組織に負担をかけ、肛門皮垂の形成を促す要因となります。便秘の症状が継続する場合は、医師に相談することが重要です。
③出産後の方
妊娠期間中や分娩時には、骨盤内の圧力が増加し、肛門周囲の組織に負担がかかることがあります。出産後、肛門皮垂が形成されることが比較的多いです。
スキンタグ・肛門皮垂の主な症状
肛門からの突出
肛門皮垂は、肛門の外側に突出した皮膚や粘膜の一部です。肛門周囲で脱肛している状態が見られることがあります。
痛みや不快感
肛門皮垂が刺激されたり、圧力がかかると痛みや不快感を感じることがあります。特に排便時や長時間の座位後に症状が悪化することがあります。
かゆみや炎症
肛門皮垂が外部に露出しているため、清潔に保たれず、かゆみや炎症が生じることがあります。
出血
肛門皮垂には血管が存在し、痛みや炎症によって血管が破れることがあります。その結果、排便時や摩擦により少量の出血が生じることがあります。
スキンタグ・肛門皮垂の検査
医師が肛門周囲を視診・触診で調べ、肛門皮垂の有無や特徴を確認します。
必要に応じて、内部から肛門を観察するために、内視鏡を使用する場合があります。これにより、肛門周囲の組織の状態や肛門皮垂の程度を確認することができます。
スキンタグ・肛門皮垂の治療法
肛門皮垂の治療法は、症状の程度や原因に応じて適切なものを選択します。
軽度の肛門皮垂で症状がない場合、経過観察が行われることがあります。定期的なフォローアップにより、症状の進行や合併症の有無を確認していきます。
手術
症状が重度である場合や合併症がある場合には、手術が必要となることがあります。手術には肛門皮垂の切除や修復などの方法があります。手術の選択肢と手術方法は、症状と患者様の状態によって異なります。
スキンタグ・肛門皮垂の予防
適切な食物繊維を摂取し、水分を適切に摂取することで、便通を改善することができます。便秘を予防するためにバランスの取れた食事を心掛けましょう。
適度な運動を行うことで、腸の運動性を改善し、便通を促進することができます。定期的な運動習慣を身につけましょう。
長時間の座位や過度の便通努力は、肛門周囲の組織に負担をかけることがあります。適度な休息や便通時の無理な圧力を避けるように心掛けましょう。
便意を感じたら適切なタイミングでトイレに行きましょう。長時間の我慢や強い圧力は避けるようにしましょう。また、トイレ後の清潔な処理も重要です。
肛門皮垂の予防のために、生活習慣の改善を心掛けましょう。また、便秘や痔の症状が継続する場合は、早めに専門医の診断と適切な治療を受けることが重要です。