肝臓専門外来
肝臓内科とは
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれる器官です。肝臓は、障害が生じても、ある程度であれば、肝機能を回復することができます。このため、肝臓に問題があったとしても、自覚症状が現れにくく、症状が現れたときには、病気がかなり進行してしまっているということも少なくありません。早期発見、早期診断のために適宜検査を受けることをお勧めします。
当院では、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、肝機能障害など各種肝疾患の診断・治療を行っております。また、健診等で肝障害を指摘された場合もお早目にご相談ください。
このような方は検査をお勧めします
肝機能検査では、症状がない場合でも、肝炎ウィルスに感染してしまってういることもあります。そのため、1度は肝機能の検査を受けましょう。
- 今までにB型肝炎・C型肝炎ウィルス検査を桁ことがない方
- ご自身のB型肝炎・C型肝炎ウィルスの検査結果がわからない方
- ご家族にB型肝炎・C型肝炎ウィルスに感染している方がいる場合
- 健康診断で肝機能の数値(AST(GOT)、ALT(GPT))の異常を指摘された方
- 母子感染予防策が始まった1985年(昭和60年)以前に生まれた方
- 過去に輸血や大手術を受けたことがある方
肝臓外来で診療する主な疾患について
ウィルス性肝炎
ウィルス性肝炎は、肝炎ウィルスに感染することで発症する病気で、肝臓で炎症が起こり、肝細胞が破壊されてしまいます。ウィルス性肝炎は主にA型、B型、C型に分けられます。
A型肝炎
A型肝炎ウィルス(HAV)の感染により発症するウィルス性肝炎です。A型肝炎ウィルスの主な感染経路は、便から排出されたHAVが食べ物を汚染し、それを摂取することで感染します。特に海外で感染する方が多いです。
A型肝炎は、約1ヶ月間潜伏期間を経て、高熱、倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状が現れます。稀に劇症肝炎になることもあり、この場合は命に関わる病態のため、肝炎の症状が出始めたら注意が必要です。
A型肝炎は自然治癒することが多く、急性期に入院して、安静にします。予防のために、食事前には手洗いうがいを心がけ、また海外渡航する際は、予防接種をうけるようにしましょう。
B型肝炎
B型肝炎ウィルス(HBV)に感染することで発症するウィルス性肝炎です。HBVは血液や体液を介して感染し母子感染、性行為による感染、輸血、臓器移植、刺青など、様々な感染経路があります。
B型肝炎には、感染してから1~6ヶ月の潜伏期間を経て、嘔吐や食欲不振、倦怠感、黄疸などの症状が現れる「急性肝炎」と、乳幼児期に母子感染して、そのまま思春期くらいまで症状がなく、それ以降に肝炎が起きる「慢性肝炎」の2つに分けられます。
慢性肝炎の場合、ウィルスを完全に排除することが難しいために、HBVの増殖を抑え肝炎を鎮静化させることを目的として、「インターフェロン(IFN)療法」と「核酸アナログ製剤」の2種類を行います。急性肝炎の場合は、自然にHBVが排除されることもありますが、強い炎症が起こる(劇症肝炎)場合は、核酸アナログ製剤の投与や血液透析を要することもあります。
C型肝炎
C型肝炎ウィルス(HCV)に感染することで発症するウィルス性肝炎です。感染者の血液や体液に接することで感染します。多くの場合、感染しても自覚症状はありませんが、おおよそ60~80%の方が、ウィルスが自然に排除されずに慢性肝炎になると言われており、さらに、肝硬変や肝臓がんに進行することもあります。
C型肝炎の治療は、注射によるインターフェロン療法が主流でしたが、2014年よりインターフェロンフリーという、インターフェロンを使わない飲み薬による治療も可能になっております。
脂肪肝
脂肪肝は、中性脂肪が肝臓に過剰に蓄積してしまった状態で、自覚症状がほとんどありません。正常な状態の肝臓は3~5%ほどの中性脂肪が蓄えられていますが、これが30%以上蓄積されてしまうと脂肪肝となります。主な原因としては、食べ過ぎ、お酒の飲み過ぎ、運動不足、肥満、糖尿病などがあり、原因により以下の2つに分類されます。
アルコール性脂肪肝
その名の通り、アルコールが原因で脂肪肝になることです。アルコールを過剰に摂取し続けると、肝臓に負担がかかり、アルコールの分解過程で、肝臓に脂肪が蓄積されます。
非アルコール性脂肪肝
食べ過ぎや、高脂血症、糖尿病など、アルコールに起因しない脂肪肝を非アルコール性脂肪肝です。
放置してしまうと、脂肪の影響で肝機能が低下し、肝炎や肝硬変、肝臓がんの原因になることもあります。肝脂肪は生活習慣を改善することで解消できますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)について
非アルコール性脂肪肝の進行により、肝臓で起こる炎症を非アルコール性脂肪肝炎(NASH / ナッシュ)と言います。アルコール性より、非アルコール性のほうが重症化しやく、自覚症状もないため、注意が必要です。中年以降の女性に多く見られ、また肥満や糖尿病を合併していることも多いです。近年増加傾向にあります。放置してしまうと、肝硬変を起こし、さらに肝臓がんが発生することもあります。
非アルコール性脂肪肝は、経過観察をとることが多いですが、普段の生活習慣を改善することが大切です。食事では糖質や脂質の摂取を抑え、適度な運動を心がけましょう。