便秘外来
便秘外来
便秘は日本人の何百万人もが悩んでいるとされていますが、体質だと捉えて、適切な治療を受けている方はとても少ないのが現状です。便秘の適切な治療法は便秘タイプや症状などにより大きく変わります。自己判断で市販薬を服用して悪化させてしまうことは珍しくありません。適切な治療法は患者さまにとって大きく変わります。当院の便秘外来では、お一人おひとりの患者さまに最適な治療を提供し、快適な生活を取り戻すお手伝いをしています。
こんなお悩みがあったら、便秘外来受診をおすすめします
- かなりトイレでがんばらないと便が出ない
- お腹の張りがあって苦しい
- 排便後もすっきりせず、残便感がある
- 便秘と下痢を繰り返す
- 市販薬を飲まないと出ない
- 服用量を増やさないと出なくなってきた
- 下半身がむくむ
- 便が硬い
- 便に血液が混じる
便秘とは
便秘は正常な排便がないことだと捉えると分かりやすいと思います。正常な排便は、自然な便意があってトイレに行き、数分以内に便がスムーズに出て、残便感がなくスッキリすることです。全て当てはまっているなら排便が2日に1度でも便秘ではありませんが、逆に毎日排便があってもどれに当てはまるようでしたら便秘の可能性があります。薬を飲んだり浣腸しないと排便できない、硬い便でかなり頑張らないと出てくれない、お腹に痛みや張りがあるなどももちろん便秘の症状です。
便秘の原因
便秘は腸管の働きが悪くなって起こりますが、その原因には、運動不足、ダイエット、水分の摂取不足、食物繊維が少ないなど食事内容、生活環境の変化、服用している薬剤の影響などがあり、複雑に関連して起きている場合がほとんどです。ゆっくりできない平日は排便に苦労する、旅先で排便できないなどストレスや自律神経に関係している場合もよくあります。また、便意を我慢することが続くと、やがて便意が起こらなくなってスムーズに排便できるタイミングがわからなくなって便秘になっていくケースもよくあります。
便秘のタイプを知りましょう
便秘はそのタイプに合わせた治療が不可欠です。内服薬もタイプに合ったものを適切に服用しないと思うような効果がないだけでなく、悪化につながる可能性もあります。
便秘には急性便秘タイプと慢性便秘タイプがあり、慢性便秘タイプが一般的にイメージされる便秘です。慢性便秘タイプには機能性便秘と続発性便秘があり、それぞれがまたいくつかに分けられます。
急性便秘タイプ
普段は問題がない状態で便秘症状が急激に起こります。内服した風邪薬などの影響で便が硬くなって出にくくなったり、バリウム検査後に下剤をきちんと飲まずに便が固まってしまうなどが含まれます。
対処法、治療法
浣腸や摘便(指や器具を使って掻き出します)を行って解消します。薬剤による影響の場合は、薬を変更するか、整腸作用のある薬などの内服を行う場合もあります。
慢性便秘タイプ
機能性便秘 腸管通過時間により、さらに3つのタイプに分けられます。
結腸通過時間正常型 | 直腸まで問題なく便が到着するが、便意の低下により起こる便秘。 |
---|---|
結腸通過時間遅延 | 大腸の蠕動運動低下により、便が直腸に到達するまでに時間がかかる便秘。 |
便排出障害型 | 排便機能の低下などにより、トイレでいきんでもスムーズに排便できない。 |
※現在は機能性便秘を上の3タイプに分けて治療していますが、以前のカテゴリーを使った説明が一般的にはまだまだ分かりやすいと思いますので、そちらもご紹介します。
弛緩性便秘 | 高齢者に多く起こります。腹圧や腸管の蠕動運動などの排便機能が低下することで、便を効率的に押し出せなくなっている状態です。 |
---|---|
痙攣性便秘 | 腸管の蠕動運動亢進により起こります。便の状態は、コロコロとしたウサギの便のようになるのが特徴です。原因は主にストレスとされており、過敏性腸症候群に含まれます。刺激性の下剤を多量に服用した際に起こる場合もあります。 |
直腸性便秘 | 便意があってもトイレに行かず我慢することが習慣化すると、発症する便秘です。便意は、便によって直腸が拡げられると脳に信号が送られて起こります。直腸性便秘は、こうした直腸の排便反射が低下して起こります。浣腸を日常的に使用したり、水圧が強力なシャワートイレの使用で直腸内に大量の水が注入されることを繰り返すことによって発症する場合もあります。 |
続発性便秘
器質性便秘 | がんやポリープ、手術後の癒着など器質的な問題があって、便が出にくくなる便秘です。手術などで原因を取り除く必要があります。 |
---|---|
肛門直腸疾患 | 切れ痔や肛門狭窄などで排便困難になる便秘です。 |
その他 | 病気や服用している薬剤の影響で起こっている便秘です。病気では、パーキンソン病などの神経疾患、筋疾患、糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌・代謝疾患などがあります。薬剤の影響で歯、向精神薬や降圧剤などに伴う便秘があります。 |
便秘の診察と検査
問診 | 排便状況や生活習慣、既往症などについてくわしくうかがって、問題点や便秘のタイプ、原因などを推測します。この時点でだいたいの状態は把握できますので、お悩みの内容を気兼ねなくなんでもお話しください。 |
---|---|
触診 | お腹に触れて、状態を確認します。 |
検査 | 血液検査、腹部X線検査、腸管移送能検査、大腸カメラのほか、バリウムを使って大腸を造影する注腸検査などから必要と思われる検査を行います。どんな検査を行うかにあたっては、患者さまと相談しながら決めていきます。 |
血液検査 | 全身の状態を調べ、便秘以外に隠れた病気がないかチェックします。 |
腹部X線検査 | レントゲン撮影でガスや便の溜まり具合、分布などを調べます。 |
腸管移送能検査 | レントゲンに写るマーカー付のカプセルを内服し、一定の時間ごとにレントゲン撮影を行ってカプセルの進み具合を確認します。腸管の移送能力の確認や、通過障害の有無を調べられます。 |
大腸カメラ、注腸検査 | 大腸がんやポリープなどがあって腸が詰まり、それが原因となって便秘になっている場合があるため、それを調べます。大腸の長さなどによる便秘かどうかも判断できます。 |
治療
食事や運動によって改善が期待できる場合には、生活習慣改善から治療を開始します。
意外だと思いますが、食物繊維は足りていても水分摂取が不足していて便秘が起きていることもあります。
慢性的で頑固な便秘の場合は、ほとんどが薬物療法の併用が必要になります。年齢や便秘の程度、タイプなどに合わせて、内服していただく薬の種類や量をきめ細かく調節しています。下剤には、機械的下剤、刺激性下剤のほか、自律神経に作用する消化管運動調整剤、そして漢方薬があります。薬の効き具合は個人差で大きく変わり、排便に影響を及ぼしますので、外来受診で少しずつ量を変更したり、種類を増減しながら改善に一番合う薬やその量を探っていきます。
羽生院長の対談記事
記事は下記の画像をクリックしてください。